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  • 【三村小松法律事務所 代表弁護士 対談 中編】
    「訴訟に強い法律事務所」の実現を目指して
    ——これまでの歩み


    【インタビュー/三村量一 弁護士・小松隼也 弁護士】

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    裁判官の考えや意図、個性を踏まえて適切な主張を組み立てる

    ——三村小松法律事務所が強みとしているという「オーダーメイド訴訟」について教えてください。

    三村
    訴訟案件ごとに、その案件を担当する裁判官の傾向に合わせて柔軟に訴訟に対応するという意味で、私たちは「オーダーメイド訴訟」と呼んでいます。「この裁判官はこういう考え方をする」「この裁判官がこういう釈明(裁判所が当事者に説明や補充を求めること)をしたのは、こういう心証を持っているからだ」といったことを、個々の裁判官の個性や同裁判官の言い渡した過去の判決例を踏まえて読み解きます。過去に一緒に仕事をしたことのある裁判官も多いので、その人の考え方をある程度想定しながら対応することができます。


    小松
    訴訟の対応で弁護士がよく陥りやすいのは、裁判官の個性を考えずに、「法律論として一般的にはこうなるはずだ」という法律論だけで主張や証拠を組み立てて、独善的な主張を貫いてしまう例です。法律論のなかにもいくつかの解釈があり、この裁判官が、どの解釈の考え方に傾いているかを踏まえずに、自らの考えを主張しっぱなしになってしまう。弁護士は依頼者の代理人という立場なので、依頼者のために有利な主張をするのはやむを得ない部分もあると思いますが、裁判官の考えや意図を踏まえずに、自身の考える法律論を裁判官にぶつけてしまっている弁護士も散見されます。

    最終的にその案件を判断するのは、法律そのものではなく、担当している裁判官です。ですから、事件を担当している裁判官が、その場その場で考えていることや相場観、当事者に対して抱いている感情などを我々がきちんと理解したうえで、そこからどう有利に事件の筋を運ぶかを考え、適切な主張を調整するべきだと思っています。

    日頃から元裁判官の目線で「この裁判官はおそらくこういう考えをしているので、主張をこのように調整した方が良い」「このような証拠を提出してほしいと考えている」「ここはこちらにとって不利な心証を持っている」などとアドバイスをもらえるのはとても有益です。しかも三村小松法律事務所に所属している元裁判官は裁判所での在任期間が長く、現役の裁判官たちの人柄や性格まで知っているという方が多いので、そこが大きなポイントです。


    三村
    「オーダーメイド訴訟」というよりも、裁判官一般の思考パターンに加えて、事件の審理を担当する裁判官それぞれの性格や判断傾向を踏まえた上で、事案に応じた主張立証を調整して、すんなりと裁判所に受け容れてもらう訴訟戦術、という言い方のほうが正確かもしれません。裁判官は当事者の主張以上に、これまでの前例である判例を重視します。ですから、過去の判例との関係で当該事案をどのように位置づけるかを踏まえたうえで、主張の内容を検討することが大切になります。

    感情的に裁判官に反論してしまう弁護士は、実は少なくありません。それでは、うまくいくものもいかなくなります。担当の裁判官がよほど筋の通らないことを言っている場合でなければ、まずは「この裁判所はこういう筋で考えているのだな」と受け止めて、依頼者の利益に最もかなう形で合わせていく、これが基本だと考えています。

    ——最高裁まで見据えた対応もできるのですか?

    三村
    私も、同僚の森弁護士も、ともに最高裁の調査官を務めていました。上告受理申立て理由書(最高裁に事件を採り上げてもらうよう求める書面)の書き方などは、上告審を経験した人でないと分からないところがありますが、調査官経験者であれば「最高裁ではこのように書面を読むので、こう読ませたいなら、こう書かなければいけない」ということが分かります。実際、他の法律事務所の弁護士から「上告は初めてなので書き方を教えてほしい」「この筋でよいか添削してほしい」という相談を受けたことも、何回かあります。

    上告申立ての書面を書く場面は、弁護士人生でそう何度もあるものではありません。通常の事件を扱っている弁護士だと、一生に数回あるかどうかです。私は弁護士になってから17年ほどですが、弁護士としても最高裁の事件を、すでに5〜6件は扱っています。数としては、かなり多い方だと思います。

    ——仮差押えなどの見通しも、事前にわかるのですか?

    小松
    たとえば仮差押え(裁判で決着がつく前に、相手方の財産をあらかじめ確保しておく手続)については、それがどれくらい認められそうか、また、もし判断が誤っていた場合に備えて積む担保金(保証金)がいくらぐらいになりそうか、という見通しをあらかじめ元裁判官たちと協議のうええで見通しを立てられるのが、非常に助かっています。

    この感覚は、実際に決定を書いてきた裁判官でないと分かりにくいところで、世の中に情報も多くありません。「裁判官として、この決定は書きやすいか」「これくらいなら書けるが、これは怖くて書けない」といった肌感覚を、しかも複数人の元裁判官の弁護士と協議できるのは大きいと思います。


    三村
    ただし、保全事件(仮差押え・仮処分など、暫定的に権利を確保する手続)が迅速に審理されるのは、民事通常事件の場合です。知財分野においては、仮処分事件も本案の裁判も同じ速度で進むため、保全ならではの緊急性やメリットが、それほど出ません。このあたりのスケジュール感や必要性の判断についても、元裁判官の知見が活きてきます。

    ——「訴訟」と共に「知財(知的財産)」も前面に出していますが、知財分野の強みはどこにありますか?

    三村
    知財が他の分野と違うのは、法律が頻繁に改正され、新しい条文が次々にできる点です。民法のように戦前からの判例が今も生きている、という世界ではなく、常にダイナミックに動いている分野です。ですから、自分自身の頭で考えることが重要です。

    私は、地裁や高裁の裁判例で不利なものがあっても、それだけで「負け筋です」とはしません。最高裁判決をひっくり返すのは簡単ではありませんが、地裁や高裁の裁判例であれば、説得的な主張と証拠があれば、別の判断をしてくれる可能性は少なくありません。もちろん前提として、入念なリサーチをしたうえでのことです。

    囲碁や将棋では、定石があってもプロ棋士は定石を崩す新しい戦法を考えますよね。それと同じで、「新しい定石をつくれないか」ということを考えます。ただし、確率が低いものに費用をかけたくない、という依頼者の意向もありますから、当然依頼者の意向を尊重します。確立が低いがこの訴訟はどうしてもチャレンジしたいという企業には、最大限のサポートをします。


    小松
    その点で、三村弁護士は裁判官時代から新しい判断をいくつもつくってきた人で、当時つくった裁判例が、いまの知財のルールになっているものも数多くあります。弁護士としても、依頼者や他の弁護士が思いつかなかったような主張や、「海外ではこうなっている」といった様々な視点を提案してくれます。

    また、5名の元知財部裁判官が、それぞれ担当してきた専門部を合わせると、行政・会社・租税・交通・医療・離婚・遺産相続など、ほぼすべての専門部をカバーできます。知財に関しても、特許・著作権・意匠・商標・不正競争、さらにパブリシティ権まで、幅広くカバーできます。元知財部の裁判官5名が在籍している法律事務所は、他にありません。

    ——なぜ「特許にもエンタメにも強い」法律事務所は珍しいのですか?

    小松
    特許を本格的に扱う法律事務所と、著作権やエンタメを中心に扱う法律事務所は、実は分かれていることが多いです。私たちは、三村弁護士がいることで特許が非常に強い一方、特許以外の知財も幅広く扱える弁護士が複数所属しています。三村小松法律事務所が、「特許 × エンタテインメント」「特許 × ゲーム」といった案件に強いのは、そのためです。

    様々なバックグラウンドを持つ弁護士がビジネスを支援

    ——元裁判官の他にも、立法や政策に関わった弁護士が複数名在籍しています。

    小松
    三村小松法律事務所には、内閣府や経済産業省で知的財産の政策・立法に携わった弁護士が在籍しています。コンテンツに関する政策の立案や、不正競争防止法(他社の営業秘密の侵害や、模倣・混同を招く行為などを規制する法律)の改正などにも関わってきましたし、その後任のポストに、弊所から次の弁護士が就いているというつながりもあります。

    立法の過程を知っていると、その条文を実際にどう運用するのか、どういう解釈が必要かを、いちばん詳しく検討できます。とくにAIに関する法律や不正競争防止法のように、いま案件が増えている分野では、立法側にも詳しい弁護士と、裁判官としてどう判断・評価するかを分かっている弁護士が、チームを組んで対応できます。これはおそらく、なかなか他の法律事務所にはない体制です。

    ——「知財」を強みとしていますが、弁理士は所属していないですね。

    小松
    弊所には特許の出願を扱う弁理士(特許庁への出願や特許の無効化を専門に扱う専門家)は所属していませんが、実はあえてそうしているという部分があります。自前の弁理士がいると、どうしてもその方と組まざるを得ませんが、私たちはさまざまな弁理士事務所と提携しており、係争案件ごとに最適な弁理士事務所と協働することができます。


    三村
    もう一つのメリットは、ビジネス上の利益相反を避けやすいことです。ある弁理士が出願や相談を担当している企業で紛争が起きたとき、特許出願を行っている法律特許事務所に紛争案件を持ち込むことには、「出願まで一緒に引き受けられてしまうのではないか?」という心配があり、躊躇します。私たちは特許出願を扱っていないので、そうした心配なく数多くの弁理士事務所から紛争案件のご相談をいただいています。

    ——スタートアップや中小企業には、どんな知財戦略を提案するのですか?

    小松
    私たちは、大企業だけでなく、中小企業・個人クリエイター・スタートアップの案件も数多く扱っています。そこでは、将来のビジネスの見込みを踏まえた知財戦略をご提案しています。会社の成長段階に応じて、知財を保護すべきタイミングと、資金調達によって資金が入るタイミングを合わせ、適切な時期に適切な範囲で権利を確保していきます。

    あわせて、新規事業が他社の知的財産権を侵害していないかを事前に確認する、いわゆるデューデリジェンス(取引や事業の前に行う調査・精査)も行いながらビジネスを進められます。これがグローバル規模で必要な場合には、海外の提携事務所が多いことが活きてきます。特に元裁判官の弁護士が多く在籍していることや三村弁護士の知名度が海外でも著名なことから、海外の法律事務所の弁護士から表敬訪問の依頼を受けることがとても多く、グローバルな提携関係の構築にもつながっています。

    ——グローバルな知財・特許訴訟には、どう対応しているのですか?

    三村
    特許は、大きな事件になるとグローバルでの紛争になります。とくに医薬品では、同じ案件を日本のみではなく、アメリカやヨーロッパでも並行して争っていて、現地の弁護士と連携して進めることがあります。医薬品の場合、対象となる売上が非常に大きく、案件の規模も桁違いに大きくなります。

    海外との関係については、ヨーロッパでの特許紛争はその大部分がドイツの裁判所で判断されているという実情があります。ドイツに関しては、私自身がドイツの大学に2年間留学した経験があり、仕事でも何度も足を運んでいます。ドイツの特許訴訟を専門とする弁護士事務所は、オーナークラスまで個人的に付き合いがあります。アメリカについても、元・米国連邦巡回区裁判所(CAFC)の長官を務めていた(ランドール・)レーダー判事が、当事務所に顧問として所属しておりますし、著名な実務家・元裁判官とのネットワークがあります。


    小松
    三村小松法律事務所から海外に留学した弁護士たちが、海外でグローバルな知財の知見を学んで戻ってきていますので、グローバルレベルでの知財戦略を、予防法務と侵害対応の両面から組むことができます。これは特許だけでなくエンタメ分野でも同じで、複数国にまたがるコンテンツ制作やグローバル展開、海外コンテンツの保護・侵害の相談も増えています。

    また、グローバル展開を前提とした新規事業のスキームの相談から知財戦略まで、ひとつの事務所でグローバルビジネスの権利回りから契約まで一通りカバーできるのは大きな強みだと思います。 また、グローバルな知財案件では、依頼者が海外の会社となることもありますが、海外の企業が現地の代理人を選ぶ際に、元裁判官経験者の弁護士がこれだけ在籍していることが、大きな説得力になります。

    ——最近はエンタメ・音楽・コンテンツ分野の弁護士も多く在籍しています。

    小松
    ひとくちに「エンタメ」と言っても幅が広いのですが、私たちは芸能・音楽・漫画・アニメ・映画・ゲーム・ダンスなどを扱い、関連領域としてファッション・アート・デザイン・建築・ジュエリー・スポーツなども扱っています。これらのビジネス分野をグローバルレベルで、かつ、契約のみではなく知財戦略も同時に扱える点が強みです。理由は、それぞれの業界に実際に身を置いていた弁護士が集まっているからです。

    具体的には、Huluなどの配信事業者やソニー・ミュージックエンタテインメントなどでインハウスロイヤーとして働いていた弁護士がいます。他にも、芸能マネジメント会社でビジネスチームの一員として働いていた弁護士、配給会社の役員を務めた弁護士、スタイリスト、編集者、ダンサー、プロカメラマンのコースを修了した弁護士、日本に十数名しかいないジュエリーコーディネーターの資格を持つ弁護士などもいます。


    三村
    私自身は、「マンガ大賞」の審査員を15年ほど務めています。それからエンタメ系の特許、たとえばゲームソフトの特許紛争案件は以前から手がけてきました。


    小松
    私自身も、ファッションブランド「CFCL」の立ち上げから役員を務め、「ART WEEK TOKYO」というイベントの立ち上げから理事も務めています。プロレスリング連盟のサポートもしています。いわば、現場側にいる立場です。

    音楽の分野では、楽曲の著作権だけでなく、録音された音源そのものに関する権利である原盤権(レコード製作者が持つ権利)が問題になる場合があります。こうした論点についても、業界の実務を知る弁護士が、裁判官の視点も踏まえてアドバイスすることができます。

    次回の後編では、事務所の成長、法務マーケットや弁護士に求められる役割の変化、今後の人材についてご紹介します。

    後編はこちら


    法律相談のご案内

    「この訴訟は勝てるのか」「契約書のこの文言で問題ないか」——こうした疑問をお持ちの経営者・法務担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

    三村小松法律事務所では、元裁判官の弁護士が、裁判所の視点を踏まえた見通しをお伝えします。訴訟に強い法律事務所として、紛争が起きる前の予防法務から、実際の訴訟対応まで、幅広くサポートいたします。知財はもちろん、会社法・行政・労働・相続といった多様な分野の紛争について、複数の元裁判官が一つのテーブルで検討し、多角的な助言を差し上げることが可能です。「勝てるかどうか」の見通しを早い段階で立てることは、無用な訴訟を避け、経営資源を守ることにもつながります。まずはお気軽にご相談ください。

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    プロフィール

    三村 量一(みむら りょういち)
    三村小松法律事務所 共同代表弁護士。裁判官として知的財産事件を中心に、民事通常事件、労働事件、破産事件、民事執行などの分野を担当し、最高裁判所調査官も経験。特許・商標・著作権をはじめとする知財分野全般に精通するほか、ドイツ留学およびドイツ語での特許論文発表など、国際的な特許訴訟実務にも通暁。2019年、小松隼也弁護士と共に三村小松法律事務所設立。弁護士としても最高裁判決に係る事件を複数経験しており、裁判官としての視点を活かした訴訟・紛争解決と、戦略的な訴訟構成を強みとする。


    小松 隼也(こまつ じゅんや)
    三村小松法律事務所 共同代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所にて企業間の紛争・訴訟を数多く経験の後、三村量一弁護士とともに独立。訴訟や刑事事件の他、エンタメ・芸能・音楽・漫画・アニメ・映画・ゲーム等のコンテンツ分野に加え、ファッション・アート・デザイン領域も広く担当し、知財戦略・予防法務からビジネススキームの構築までを一貫して支援。ファッションブランド「CFCL」役員、「ART WEEK TOKYO」立ち上げ理事など、業界の現場にも精通。

    ※上記は本記事作成時点の情報です。最新の経歴・実績は、事務所公式サイトの弁護士紹介ページをご確認ください。

    【2026.10.13】


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