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  • 体育会で培った人間力で依頼者に信頼される
    ファッション系“町弁”を目指す


    【インタビュー/密綸志弁護士】

    中学、高校、大学と弓道に打ち込んだ後、弁護士としての道を切り拓いてきた密 綸志(みつ けんし)弁護士。キャリアスタートとなった大阪の総合系法律事務所では、中小企業や個人の依頼者からの一般民事、企業法務、債権回収、労働問題など幅広い案件を手掛けてきました。
    体育会で培った集中力や人間力と、大阪時代に積み重ねた実直な経験をベースに、新天地・東京では依頼者から信頼される“町弁”としてのキャリアを軸に、ファッション業界などの企業法務へも挑戦していきたいと話します。


    学生時代は弓道一筋。父のひと言が、弁護士を目指す転機に

    ——まず、弁護士を目指されたきっかけを教えていただけますか

    父が弁護士で、子供のころ友達の家に遊びに行くと「密くんのお父さんって弁護士なんだね、すごいね」みたいに言われることがあって、自然と憧れていたのかもしれません。小学校の卒業文集には将来なりたい職業として“弁護士”と書いていました。
    ただ、中高は野球部やラグビー部など全国でも屈指のスポーツ強豪校としても知られている、兵庫県・西宮市の報徳学園高等学校に進学して弓道部に所属し、部活動に明け暮れる日々でした。
    ひとつのことに集中してしまう性格だったので、弓道ばかりしていて、大学受験では現役合格はできなかったんです。

    その後一浪して何校か合格したのですが、弁護士になるために1年生から勉強できるように大阪の大学に行くか、もしくは弓道を続けるために強豪の大学に行くかで迷い、最終的に弓道部で強豪校であった法政大学へ進学しました。
    法政の弓道部は全国でも1〜2位を争うようなトップレベルで、死ぬ気で弓道に打ち込むくらいの覚悟を持った選手ばかりの体育会。まだ昔ながらの体育会文化の名残があり、当時は1年生の男子は強制的に丸坊主でした。よく冗談で、「4年生は“神様”、3年生で“人間”だから」と話していました。入部者の9割がスポーツ推薦で入部してくることもあり、私はレギュラーとして試合に出ることはできませんでしたが、全国大会で優勝する経験など、一般的な大学生とは少し違う青春だったと思います。

    法政大学に進学した時点で、弓道漬けの日々を送る覚悟をしたので、「弁護士の道は無くなったな」とは思っていました。就職するつもりで、大学4年生になる頃には、体育会の部活動に所属する人たち向けの合同就職説明会にも参加しました。でも、実家へ帰省した時に父から「弁護士やらへんのか?」みたいなことを言われまして。自分としては勉強もしていませんでしたし、今更? とも思ったのですが、他にやりたい仕事というのもあまり思いつかず、両親から「勉強するならサポートする」と背中を押してもらい、再度挑戦する決意をしました。
    大学を4年でギリギリ卒業した後は勉強に本腰をいれ、予備校に2年通った後神戸大学のロースクールに合格、卒業後に司法試験に受かりました。

    ——学生時代10年間真剣に弓道を続けたご経験は、どのように弁護士としてのキャリアに活かされていると思いますか?。

    弓道というよりは体育会系の一般論になってしまうかもしれませんが、上下関係に敬意を払うところや人との距離の取り方などは社会人としても活かされているかもしれませんね。スポーツをやっていると大会などで大勢の方と接する機会も多いですから礼儀作法も厳しかったです。
    弓道は個人競技のようですが、団体戦では個人の得点を合算して勝負をしていくので、その点はチームで案件に取り組みながら成果を出していく三村小松法律事務所のような弁護士事務所の在り方と近しいと言えるかもしれません。

    ——弁護士としては大阪の総合法律事務所でキャリアをスタートされていますが、当時はどのような案件に携われていたのでしょうか?

    父が倒産・破産を専門にした事務所をやっていることもあり、私も学生時代は倒産法を学んでいましたので倒産を中心に幅広く民事一般を扱っている事務所で仕事していました。
    所属弁護士8名のいわゆる“町弁”的な事務所で、交通事故、離婚、相続、マンション等の部屋や入居者のトラブル、破産に伴う不動産処理、建築訴訟など、幅広い案件に触れてきました。
    先輩方も面倒見が良く優しい雰囲気の中、のびのびと仕事させていただきました。

    ——町弁というと、さまざまな方の人生模様やドラマに触れていくことも多そうですね。

    そうですね。大阪時代は市役所などで開かれる無料の市民法律相談の担当をしていました。ひとり30分くらいずつの時間の中で、「事故に遭ってしまいました」とか、「両親が高齢で、もしなにかあったときに、相続はどうしたらいいかわからない」、「何十年も会っていない兄の借金があって、督促状が来ている」といったさまざまなご相談やお困りごとをうかがっていました。
    30分で解決まではいかないにしても、糸口のようなものは持って帰っていただくという機会で、弁護士としてのキャリアを構築する上でも多くの学びがありましたね。

    三村小松法律事務所への移籍——新たな分野に挑み、実務の幅を広げる

    ——三村小松法律事務所へ移籍されるきっかけはどのようなものでしたか? 

    町弁的な案件にもやりがいを感じていたのですが、もう少し企業法務などキャリアの幅を広げたいと考え、転職活動を始めました。
    そしてロースクール時代にファッションに目覚めたことが、三村小松法律事務所に移籍を希望する大きなきっかけとなりました。

    大学時代までは体育会の制服があり、私服を着る機会がほとんどなかったのですが、卒業後、ファッション系YouTuberの動画にハマり、洋服に興味を持ち始めました。
    「自分でも何か着てみたい!」と神戸のバーニーズニューヨークに行ったときに、MA-1とデニムを組み合わせたデザインのSacaiのジャケットに出会い、「こんな服があるんだ!」と衝撃を受けたんです。そのアイデアの自由さや遊び心に心打たれ、当時の自分には高額な買い物でしたが購入しました。
    それをきっかけに、Yohji Yamamotoのヴィンテージを専門に扱う店にも足しげく通うようになりました。Yohji Yamotoが初めてパリコレに参加した1981年頃のアーカイブなどに触れるうちに、洋服だけでなく、ファッションの歴史や背景にも興味が広がっていきました。

    海老澤美幸弁護士の記事なども読んでいましたので、ファッション関連の案件に強い三村小松法律事務所のことは知っていました。ちょうど三村小松法律事務所がファッションを含むクリエイティブ案件に興味のある弁護士を募集していることを知り、応募しました。

    ——三村小松法律事務所の採用面接で印象に残っていることはありますか?

    私の場合、面接は2回あったのですが、特に印象に残っているのは、1回目の面接で一般民事の事例問題について議論したことです。事例問題が出される面接は初めてだったこともあり、とても緊張しました。
    面接の前日に問題が渡され、面接では検討内容を説明しながら、面接を担当していただいた弁護士からの問いかけにその場で考えて答えていきました。単に法的知識を問うというより、弁護士としてどのように事案を整理し、解決するかを見るような内容でした。
    2回目の面接では、これまでの業務経験や理想の弁護士像といった仕事に関する質問だけでなく、趣味や休日の過ごし方など、人柄に関する質問も多かったように思います。固い空気感ではなく、リラックスした雰囲気の中で、お話しさせていただきました。

    ——転職活動中、大阪と東京では弁護士事務所の雰囲気やあり方、業務内容の違いなどは感じられましたか?

    私個人の認識ですが、大阪ですと事務所の種類は大別して企業法務と町弁というイメージですが、東京は事務所ごとの特色が細分化していますね。
    そもそも弁護士の総数として全国で4万8,000人くらい(日本弁護士連合会調べ)のうち、半数くらいが東京にいるんです。また、企業の数や種類も多いですから、案件としても専門性が求められることが多い印象でしたね。

    ——三村小松法律事務所に入所されてからはどのようなお仕事をされていますか?

    元裁判官の弁護士も多く所属し、法に関しては圧倒的な知の集積がある環境で、日々勉強させていただいており、今はファッションをはじめ、特許訴訟、会社のスタートアップ、保険会社の相談、建築設計の案件など幅広い案件に関わり、不正調査の補助者委員もしています。

    ——今後特に力を入れていきたい分野はありますか?

    やはり一番はファッションですね。もともとファッション分野に携わりたいという思いで三村小松法律事務所に入所したので、案件には積極的に手を挙げるようにしています。
    先日は、代表の小松隼也弁護士に、念願のYohji Yamamotoの展示会に同行させていただきました。ファッションの現場に触れる機会が増えるほど、弁護士として、この分野に関わる人たちをサポートしていきたいという思いが強くなっています。

    ——ご自身の強みはどんなところでしょうか? 

    各分野のスペシャリストが多い事務所の中で、自分としてはこれまで多く携わってきた一般民事の案件に強いことが武器かな、と考えています。
    いろいろな立場の依頼者や、事情や利害が複雑に絡む案件に向き合ってきたので、初めて扱う分野でも全体を俯瞰しながら考えられるところ、また、双方の立場や主張を整理し、感情に流されず、案件全体を見ながら話を前に進めていく交渉力も、自分の強みだと感じています。

    ——最後に、弁護士として仕事をするうえで、今後も大切にしていきたいことを教えてください。

    常に意識しているのは依頼者の方ときちんと向き合っていく姿勢です。

    『GTO』という漫画で昔から大好きなシーンがあります。生徒のひとりが行方をくらました時、校長が「400人いる生徒のうちの一人だから」と気に留めないのに対して、主人公の教師・鬼塚が「学校にとっては大勢いる生徒の一人でも、その生徒にとって担任教師はたった一人しかいない」という趣旨のことを言う場面です。

    自分が弁護士として仕事をするうえでもこの考えを大切にしています。
    弁護士としてキャリアを積み重ねていくと、多くのの依頼者の方とお会いすることになるのですが、依頼される方にとって自分はいつもたったひとりの弁護士であるわけですから、一つ一つの案件に全力で、対応したいと思っています。

    プロフィール

    密 綸志(みつ けんし)
    大阪の総合法律事務所で幅広い一般民事案件を経験した後、三村小松法律事務所へ移籍。現在は訴訟、保険、建築、不正調査などの案件に携わる。特にファッション分野に関心を持ち、関連案件にも積極的に携わっている。

    【2026.10.30】


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