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  • 【三村小松法律事務所 代表弁護士 対談 前編】
    「訴訟に強い法律事務所」の実現を目指して
    ——これまでの歩み


    【インタビュー/三村量一 弁護士・小松隼也 弁護士】

    「訴訟に強い法律事務所」を目指した経緯

    ——まずは事務所設立の経緯をあらためて教えてください。

    小松
    もともと私と三村弁護士は、長島・大野・常松法律事務所の訴訟チームに所属していました。大型紛争やグローバル案件を数多く手がけるなど、素晴らしい環境でしたが、一つ気になっていたのが「利益相反」の多さです。大規模事務所では上場企業や大企業のほとんどが依頼者に名を連ねているので、企業間の紛争や契約交渉になると、紛争や契約の相手方もまた事務所の依頼者、ということが多々発生し、弁護士法上、案件を引き受けてはならないという「利益相反」が頻繁に発生しました。特に訴訟はビジネス上の対立が大きく、訴訟代理を引き受けたくても利益相反を理由に受けられないという場面が少なくありませんでした。

    そこで、利益相反にとらわれず、企業の依頼者からの紛争や訴訟の依頼を幅広く受けられるよう、小規模から中規模で、訴訟・紛争に強い法律事務所を作りたいと思いました。また、留学先のアメリカのロースクールで、法律分野ではなく、産業ごとに専門性に特化した弁護士らの姿を見たことも大きかったです。日本にも、特定の産業に深くコミットする法律事務所が求められているのではないか——そう考え、価値観の一致した三村弁護士とともに2019年に立ち上げたのが三村小松法律事務所です。


    三村
    私たちが作りたかったのは、迅速に、オーダーメイドな訴訟対応の可能な事務所です。事件ごとに最適な形で訴訟の対応方針を組み立て、依頼者のニーズに応える。そういう小回りのきく法律事務所ですね。

    私は裁判官を30年務め、うち17年は知的財産に関する訴訟を担当しました。扱った知財事件の件数は1,000件以上です。それだけの数をこなすと、案件の見通しが立つようになります。知財高裁や各地裁の知財部には元同僚も後輩もいますから、どの法廷でどう戦うべきかは感覚としてわかります。この知見を依頼者のために活かしていきたいと考えました。

    ——事務所設立時に「訴訟に強い法律事務所」という目標を掲げた経緯を教えてください。

    三村
    もともと私は裁判官の出身です。裁判官というのは、日々ほとんど訴訟ばかりを扱っています。契約書に関する案件もありますが、その多くは契約書の出来がよくない結果として紛争となり、訴訟に発展したものです。ですから、自分の経験を最も活かせるのは訴訟や契約交渉だと考えていました。小松弁護士も前事務所で多くの訴訟の経験がありましたので、ふたりで「訴訟に強い」という点を前面に打ち出していこうということになりました。

    客観的に見ても、実際に事務所のメンバーは様々な訴訟について豊富な経験がありますし、今の体制でいうと、とくに知的財産専門部での裁判官経験を有する弁護士が5名在籍しています。正直、知財部の裁判官経験者がこのように多数集まるとは思っていませんでしたが、依頼者にとって良い布陣だと感じています。

    裁判官の知見で訴訟の“筋”と判例を読み解く

    ——裁判官の経験がある弁護士がいると、訴訟対応でどんな違いがあるのですか?

    三村
    裁判官経験者の強みは、紛争への対応にあります。紛争は、途中で合意できなければ、最終的にどちらかが訴訟に踏み切ることになります。そのとき、自分たちは法律上・立証上強い立場にあるのか、それとも弱いところがあるのか、この相場感は、実際に裁判官として事件を処理してきた経験がないと、なかなかつかめません。

    当事務所の元裁判官弁護士5名を合わせれば、知財事件だけでも数千件ほどの経験があります。数のうえでも十分ですし、「裁判所に持っていけば、この筋で決まります」という見立ても、複数の元裁判官で相談することで精度が飛躍的に向上します。裁判官の間でも判断に多少のブレはありますが、最大公約数として「少なくともこの事件はこうだ」という見極めもできますし、「これは担当裁判官によって判断が分かれるかもしれない」という予想もできます。三人よれば文殊の知恵と言いますが、何人かで知恵を出し合ったほうがよい場面は少なくありません。

    もう一つは、判例の読み方です。裁判例や最高裁判決は、事案の内容や、担当した裁判官・裁判長によって重みが違います。「この事案で、この裁判長の、もしくは、この地裁の裁判例であれば、重視したほうがよい」といった判断ができますし、逆もしかりです。重要な最高裁判決についても、その判決の効果が及ぶ範囲(射程)はここまでであり、その先はまだ白紙なのか、あるいはかえって消極的なのか。私や同僚の森(義之)弁護士は最高裁判所の調査官(最高裁判決について参考文献調査や判決内容の立案を行う担当者)も務めていましたので、最高裁判決がどのような考えで書かれたのかが、よく分かります。こうした分析力をいちばん活かせるのが訴訟です。その結果として、多くの訴訟を勝ち抜いてくることができました。

    ——若手の弁護士は、元裁判官に気軽に相談できるものですか?

    小松
    はい、もちろんです。案件の見通しを立てるために訴訟の相談に乗ってもらうこともありますし、「訴訟に勝つために必要な証拠は何か?」「その証拠が裁判所でどう評価されるか?」というところまで見通しをつけたうえで準備を進められます。裁判官の視点を含めて訴訟準備ができるのは、三村小松法律事務所に所属する大きな強みだと思います。

    証拠は裁判所に提出するタイミングも大切です。あまりに遅い段階で出すと、時機に後れた攻撃防御方法(訴訟の途中で遅れて提出したために、裁判所に取り上げてもらえなくなる主張や証拠)として扱われてしまう場合があります。他方で、その証拠を提出することで、自らの主張を弱めてしまうようなこともあります。だからこそ、早い段階で証拠に関する裁判所の評価の見通しを立てておくことが重要になります。

    三村小松法律事務所では、経験豊富な元裁判官が同じ執務室に複数名います。個室で分かれているのではなく、フラットな机で一緒に働いていますので、いつでも「この裁判例はどう読めばいいですか?」「この証拠はどう評価すればいいですか?」と相談できます。


    三村
    この「同じ部屋」というのは、裁判所のやり方を踏襲したものです。裁判所では、所長や長官などの例外を除けば、裁判長も陪席(合議体で裁判長と共に審理にあたる裁判官)も同じ部屋にいます。教育的な観点から昔からそのようにしているのですが、これは良い仕組みだと思い、私たちの法律事務所も垣根なしでやっています。

    ——「訴訟に強い」ことで、かえって訴訟を減らすと聞きました。

    小松
    私が三村弁護士と独立したきっかけは、まさにここにあります。私たちはもともと長島・大野・常松法律事務所にいて、企業間の紛争・訴訟を扱っていました。そのなかでも、私はおそらく最も担当していた訴訟の案件数が多かったのですが、いつも三村弁護士に訴訟の見通しや証拠の評価を相談していました。さらに、紛争まで発展していない、契約交渉の段階についても、とても有意義なアドバイスをもらっていました。

    ある契約交渉について三村弁護士に相談したとき、「こういう証拠を今から準備しておけば、あとで万が一紛争になったとしても、契約書の解釈に関して裁判に勝つことができるよ」というアドバイスをもらったことがあります。契約書は、双方の当事者がどちらも自分に有利にしたいので、当事者間の力関係がよっぽど一方的でない限りは、一方にとってのみ有利な内容にはできません。どこかで落としどころをつけたり、曖昧な文言にせざるを得ないところが残ります。だからこそ、契約締結の過程や、契約書の文言の外でのやりとりを証拠として残しておけば、将来的に紛争になったときに、その証拠で訴訟を戦うことができるのです。裁判官目線で将来の紛争を見通したうえで契約交渉ができるのは、非常に有益だと感じました。

    今はその精度が高まりすぎて、むしろ訴訟提起にまでいかずに解決してしまう案件が増えています。裁判所でも通常は3名の裁判官で合議しますが、三村小松法律事務所の場合は最大5名の元裁判官、かつ、様々な専門部で長年の経験を有する元裁判官と合議することができます。

    「訴訟を提起した場合には、おそらくこのような結論になる」「損害賠償はこの程度の金額となる」「ここはどうしても負けてしまう」という見通しがかなり高い精度で立つので、それを踏まえて早め早めに和解交渉を進めることができます。かつ、裁判において、クリティカルな重要性を有する証拠を早い段階で相手方の弁護士に提示することで、和解交渉を有利に進めたり、逆にこちらにとって不利な証拠を相手方に把握されないように和解交渉を進めたりといったことが元裁判官の目線を通じて可能となります。

    事務所経営の観点では、訴訟案件が早く解決してしまうことは、事務所の売上の減少にも通じるのでジレンマがありますが(笑)、クライアントにはとても喜ばれていますし、結果として、紛争を予防する予防法務(トラブルになる前に手を打つ法務)的な企業案件が年々増えています。また、訴訟になる前に裁判官目線で効果的なアドバイスをしてもらえるということで、依頼者同士の口コミであらたにご相談に来てくださる依頼者や、他の法律事務所の弁護士から裁判官目線でのセカンドオピニオンが欲しいという依頼も多くあります。


    三村
    企業にとっては、そもそも訴訟にならないことが理想ですが、実際には「警告書が来ました」「これから警告書を出します」「一審の裁判で負けました」といった、すでに火がついた状態で依頼を受ける案件も少なくありません。

    ですから、紛争になる前や初期から関われるのがいちばん理想的ではあるものの、実際には火がついてからの訴訟代理のご相談も多いのです。小松弁護士の方は顧問契約を通じて会社の状況をすべて把握している案件が多く、予防法務の比重がとても大きい。これに対して、私は、訴訟になってからの依頼、なかには一審判決で負けてからの依頼も多い。事務所内でも役割分担ができています。

    次回の中編では、事務所が標榜する「オーダーメイド訴訟」、知財分野の強み、その他取扱分野の特徴などについてご紹介します。

    中編はこちら

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    法律相談のご案内

    「この訴訟は勝てるのか」「契約書のこの文言で問題ないか」——こうした疑問をお持ちの経営者・法務担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

    三村小松法律事務所では、元裁判官の弁護士が、裁判所の視点を踏まえた見通しをお伝えします。訴訟に強い法律事務所として、紛争が起きる前の予防法務から、実際の訴訟対応まで、幅広くサポートいたします。知財はもちろん、会社法・行政・労働・相続といった多様な分野の紛争について、複数の元裁判官が一つのテーブルで検討し、多角的な助言を差し上げることが可能です。「勝てるかどうか」の見通しを早い段階で立てることは、無用な訴訟を避け、経営資源を守ることにもつながります。まずはお気軽にご相談ください。

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    プロフィール

    三村 量一(みむら りょういち)
    三村小松法律事務所 共同代表弁護士。裁判官として知的財産事件を中心に、民事通常事件、労働事件、破産事件、民事執行などの分野を担当し、最高裁判所調査官も経験。特許・商標・著作権をはじめとする知財分野全般に精通するほか、ドイツ留学およびドイツ語での特許論文発表など、国際的な特許訴訟実務にも通暁。2019年、小松隼也弁護士と共に三村小松法律事務所設立。弁護士としても最高裁判決に係る事件を複数経験しており、裁判官としての視点を活かした訴訟・紛争解決と、戦略的な訴訟構成を強みとする。


    小松 隼也(こまつ じゅんや)
    三村小松法律事務所 共同代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所にて企業間の紛争・訴訟を数多く経験の後、三村量一弁護士とともに独立。訴訟や刑事事件の他、エンタメ・芸能・音楽・漫画・アニメ・映画・ゲーム等のコンテンツ分野に加え、ファッション・アート・デザイン領域も広く担当し、知財戦略・予防法務からビジネススキームの構築までを一貫して支援。ファッションブランド「CFCL」役員、「ART WEEK TOKYO」立ち上げ理事など、業界の現場にも精通。

    ※上記は本記事作成時点の情報です。最新の経歴・実績は、事務所公式サイトの弁護士紹介ページをご確認ください。

    【2026.10.13】


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