「中絶の権利」の禁止に立ち上がるファッションブランドたち
妊娠中絶を女性の権利であると認めた最高裁判決(ロー対ウェイド判決)を覆す内容の草稿が報じられ、5月3日には最高裁判所がこれを認めたことなどにより、状況はさらに混迷を極めています。
そのような中、「W magazine」によれば、世界的ファッションブランドの一つである「GUCCI」が、住居のある州では利用できない医療へのアクセスを必要とする米国の従業員に対し、医療費を負担すると報じました。
GUCCIは、かねてより、人工妊娠中絶を禁止する法律に反対し、2020年クルーズコレクションには”MY BODY MY CHOICE”(私の体は私が決める)と書かれたジャケットを発表するなど、その立場を明らかにしてきました。
また、LEVI’Sで有名な「LEVI STRAUSS & CO.」でも同様に、従業員に対し、生殖医療や中絶に関連するサービスなど本国では利用できないサービスについて医療関連の費用を負担すると発表しました。
同発表の中で、同社は次のように述べています。
As the pandemic has shown so clearly, public health issues are workplace issues. Business leaders are responsible for protecting the health and well-being of our employees, and that includes protecting reproductive rights and abortion access.
Access to reproductive health care, including abortion, has been a critical factor to the workplace gains and contributions women have made over the past 50 years. Further restricting or criminalizing access will jeopardize that progress and disproportionately affect women of color, putting their well-being at risk and impeding diverse hiring pipelines. Women in some states would have fewer rights than women in others, and our country would be consigned to a more unjust and inequitable future. What’s more, companies would need different health policies for different locations – including coverage for time off and travel across state lines – to ensure employees can access reproductive health care.
パンデミックが明確に示しているように、公衆衛生の問題は職場の問題です。ビジネスリーダーは、従業員の健康と福祉を守る責任があり、それにはリプロダクティブ・ライツと中絶へのアクセスを守ることも含まれます。
中絶を含むリプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスは、過去50年にわたる女性の職場での地位向上と貢献にとって重要な要素でした。アクセスをさらに制限したり犯罪化したりすることは、その進歩を危うくし、有色人種の女性に不釣り合いに影響を与え、彼女たちの幸福を危険にさらし、多様な雇用のパイプラインを阻害することになります。ある州の女性は他の州の女性より権利が制限され、我が国はより不公平で不平等な未来を迎えることになるでしょう。さらに、企業は、従業員がリプロダクティブ・ヘルスケアにアクセスできるようにするために、休暇や州をまたがる出張に対する補償を含め、場所によって異なる健康ポリシーを必要とすることになるのです。(筆者意訳)
今後も、こうした動きに声を上げるファッション企業が増えていくものと考えられます。
ファッションは「時代を映す鏡」であると同時に、時代をリードするためのツール。
ファッションブランドが声を上げ、自らの立場を明確に主張する姿勢は、日本のファッションブランドにとっても参考になるのではないかと思います。
この記事は mag by fashionlaw.tokyo から許可を得て転載したものです。 元記事はこちら
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