京都・両足院にて開催中のボスコ・ソディ& 加藤泉の展覧会ができるまで。
今月、京都・両足院にて開催されている「黙: Speaking in Silence ‒ Bosco Sodi & Izumi Kato」。
今、現代美術界で注目されるメキシコ出身のボスコ・ソディと加藤泉の2人展ですが、実は当事務所の代表弁護士・小松隼也がこの企画のきっかけ作りにも貢献していました。小松が出席した展覧会オープニングにて、アーティストのふたりと両足院の副住職であられる伊藤東凌さんとの座談の様子をお届けします。
小松(以下K):きっかけは4年ほど前のこと。私がボスコに誘われてメキシコを訪れた際、加藤さんと3人で飲んでいるときふたりの長年の交友関係の会話になり「いつか二人で展覧会ができたらいいね」という話が出てきたんです。それで、ボスコに「Junyaには僕らの友人として最高の展覧会場を提案してほしい」と頼まれました。それで彼らの友情企画展にふさわしい会場として一番に思いついたのが両足院だったんです。というのも、副住職の伊藤東凌さんと私も長年交流させていただくなかで、寺院とはヒト、モノ、コトが集まり、特に人々の思いや物事=アートが自然と一体化するような場所なのではないか、と考え、ふたりのアーティストに東凌さんをご紹介させていただきました。
ボスコ(以下B):加藤さんと自分が育んできた友情に加え、Junyaとの友情で繋がった展覧会ともいえますね。自分はいつも人生においては、パーソナルなリレーションシップをとても大事にしているんです。
伊藤(以下I):これまで両足院ではさまざまなアートの展示を行っていますが、2人のアーティストによる展示はほぼ初めてで、どんなことになるか、なかなか想像ができませんでした。おふたりの作品はどちらもインパクトの強い作品ですので、お寺の空間に設置されたとき、もしかしたらガラッと空気が変わりすぎてしまうんではないか、という懸念もありました。しかし実際作品がインストールされてみたら、むしろ空間と作品の化学変化が良い方向に出て、まるでずっとそこにあったかのように馴染んでいる。これからもそこにずっとあって欲しい、と思うくらいの展示となりました。
K:タイトル“黙”のバックボーンにも、フレンドシップがある、とうかがいました。まさに友情企画ともいえる展覧会になりましたね。
B:友情とは黙=サイレンスで計れるれるものなんじゃないか? と思っています。というのも、真の友情があれば、黙って一緒にいても心地よいはずで、むやみに話す必要はない。加藤さんと自分の友情の素晴らしいところは、お互いの言語(スペイン語と日本語)が話せないこと。でもアートを見たり、飲んだり、釣りに行ったり、何時間でも一緒にいられる。自分はいつも友情を信じていて、子供にも特に大切にするように教えているんです。
加藤(以下K T):タイトルはボスコがつけたんですが、なんか洒落てるな、くらいにしか思ってなくて、そんな意味があったとは今日知りました(笑)。普通はアーティスト同士ってなかなか仲良くなることは少ないんですが、ボスコは特別ですね。
B:確かに。アーティストって大抵はインディペンデントで、競争心も激しいですからね。でも、加藤さんは自分にとってはファミリーみたいなものなんです。
K:今日までどんなプロセスで展覧会の準備をされたのですか?
B:自分はいつも侘び寂びについては関心を持って制作してきましたが、去年の春、両足院に数日間滞在する機会をいただきました。朝昼晩と流れる時間ごと、両足院のいろんな表情を体験し、まずはこの場所にコネクトするということを試みました。
I:展覧会を開催していただくにあたっては、まずアーティストの方に両足院を体感していただきたいと思っています。禅のプラクティスをご一緒にしていただいたことはとても重要なアプローチ、と考えます。
K:お二人の作品が両足院という時空間に本当に馴染んでいるように見えます。
K T:事前には、特にどの場所にどの作品を置くかというのは打ち合わせはしていませんでしたが、展示はうまく行ったのではないか、と思います。
B :僕らはいわゆる普通のアーティストとは違うかもしれないですね。展示の時も、自分たちの手で作品を運んで、お互い直感を大事にしながら設置していきました。制作でも、自分はアシスタントはいないんです。加藤さんもそうです。だからこそ、作家自身のフィーリングやエネルギー、エッセンスがより作品において直接的に現れている、ともいえます。
K:ボスコさんや加藤さんの作品の素材感と、二人の対話、4年前に思い描いたことが両足院という場所で実現したのを見て、本当に感慨深いです。今日はお招きをありがとうございました。
黙:Speaking in Silence – Bosco Sodi & Izumi Kato
会期:2024年11月2日(土)~ 17日 (日) 会期中無休
時間:13:00~17:00 (最終入場 16:30)
会場:両足院
京都府京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町591
特別拝観料 (大人1000円、高校生以下500円 / 現金のみ)
公式インスタグラム:@speaking_in_silence_kyoto
Installation view at Ryosokuin Zen Temple, Kyoto, Japan
Photo: Mitsuru Wakabayashi
Courtesy of Executive Committee, “黙:Speaking in Silence” Exhibition
©︎2024 Bosco Sodi, ©2024 Izumi Kato
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