【事務所説明会レポート①】
訴訟に強い事務所をつくる — 三村小松法律事務所が大切にするもの
三村小松法律事務所は、2019年に三村量一弁護士と小松隼也弁護士によって設立されました。
当初は所属弁護士5名の小規模な事務所としての出発でしたが、知財・紛争解決・企業法務を中心に事業を拡大し、2026年2月現在では弁護士24名の体制へと成長しました。
2025年11月20日、三村小松法律事務所では初めてとなる事務所説明会を開催し、対面およびオンラインあわせて約30名の弁護士、司法修習生、ロースクール生にご参加いただきました。
事務所の沿革や業務分野の紹介、パネルディスカッション、質疑応答、懇親会などのプログラムを通じて、活発な意見交換が行われました。
本記事では、説明会で語られた内容を踏まえつつ、
「なぜ三村小松法律事務所はこの形になったのか?」
「どのような理念のもとで事務所づくりを進めてきたのか?」
について、小松隼也弁護士の言葉を中心にお伝えしていきます。
目次
本当にやりたい訴訟とは?──大規模事務所で見えた限界と独立の決断
三村小松法律事務所を一緒に立ち上げた三村量一弁護士と私は、もともと同じ大規模事務所の訴訟チームに所属していました。
そこでは優秀な人材に囲まれ、誰もが知っている企業の大型紛争や、社会的影響の大きい事件にも数多く関わることができ、恵まれた環境で多くの経験を積ませていただきました。
しかし、自分自身の身の回りの方からの相談が増えてくると、「この環境では紛争案件の対応は多くはできない」という別の現実が見えてきました。なぜなら大規模事務所には、すでに多くの企業クライアントが存在し、既存クライアントを契約や紛争の相手方とする新規の相談は、弁護士倫理の関係で利益相反案件として受任することが難しいからです。
特に、大規模な企業間訴訟、特許訴訟や、クリエイター、アーティスト、スタートアップの依頼者など、私たちが注力したい領域では、紛争や契約の相手方が事務所の既存クライアントに重なることが頻繁にありました。
「この案件には自分が貢献できる」という確信があっても、利益相反のために弁護士として受任できないという状況が続き、自分の成長にも、依頼者への向き合い方においても、悩ましい問題が生まれていきました。
その頃、訴訟の準備や見通しの立て方、契約交渉の勘所、契約書の文言の調整などについて、以前から意見を交わしていた裁判官経験者の三村弁護士と話す機会が増えていました。
三村弁護士は裁判官として長年にわたり訴訟事件や知財事件を担当し、数多くの著名事件の判決を残してきました。そのような貴重な経験から、「この事件は訴訟になったらこの証拠がポイントになる」「この事件は訴訟になったら、この契約書の文言の解釈が決め手になる」といったように、紛争案件が裁判になった場合の重要なポイントの見通しがつくのです。
私は、普段から「裁判官としての視点は、弁護士にとっての羅針盤になる」と感じており、そうした対話を重ねる中で、「三村弁護士となら、紛争解決のために効率的な助言を行うという目標を実現できるかもしれない」と考えるようになりました。
それから三村弁護士と私はより具体的に法律事務所の在り方を語り合うようになり、最終的にお互いが抱えていた課題感が一致し、「自由に依頼を受けられる環境で、訴訟や紛争に強い事務所をつくる」という目標が、自然な形で共有されたのです。
産業分野ごとの専門性という発想──留学で気づいた日本の法律実務の課題
新しい事務所を立ち上げるにあたり、私がもう一つ強く意識していたのは、「法律分野」ではなく「産業分野」に専門性を持つ法律事務所という点でした。
従来、日本の法律業界、特に企業法務の分野では、「会社法の専門」「労働法の専門」「知財法の専門」「個人情報保護法の専門」「倒産法の専門」といったように、法律分野での縦割り構造による専門性が一般的でした。
もちろん、こうした区分は専門性を高めるために重要ですが、実際の企業活動は一つの法分野だけではカバーしきれません。どの産業も、会社設立(会社法)、株式の発行(会社法)、資金調達(金商法)、商標の登録(知財法)、従業員の雇用(労働法)、模倣品対策(知財法)、特許の取得(知財法)、広告規制(独禁法)、個人情報の取り扱い(個人情報保護法)、危機管理(刑事法)、会社の清算(倒産法)といったように、さまざまな法分野が複合的に絡み合いながら進んでいきます。
私はアメリカ留学中に、「ファッションロー」や「アートロー」、「エンターテイメントロー」など、特定の産業の慣習やプレイヤーの関係性を十分に理解したうえで、これらの法律分野を横断的に助言する弁護士らに出会いました。また、実際に留学したニューヨークのフォーダム大学ロースクールでは、法律分野の授業と同様に、産業分野ごとの授業が潤沢に提供されていました。
特定の産業の構造や文化、商慣習、専門用語などを熟知したうえで、法律だけにとどまらず、ビジネス的な感覚からもクライアントが求めているアドバイスを一気通貫で提供する弁護士らを見ていて、これこそがクライアントが求めている弁護士像の最適解であると感じました。特に、法的課題にとどまらず、ビジネス感覚に基づく助言ができる弁護士は日本には極めて少なく、需要も高いと感じました。
そのような経緯もあり、現在、三村小松法律事務所では、エンターテイメント・コンテンツ産業、ファッション産業、ジュエリー産業、アート産業、デザイン産業、ヘルスケア産業、物流産業、教育産業など、各産業分野に深い知見を持つ弁護士が複数名所属しています。
元裁判官の知見を取り込み、紛争解決の質を引き上げる
三村小松法律事務所の特徴をさらに挙げるとすると、「元裁判官が複数在籍し、その知見を日常的に実務へ反映できる体制があること」だと考えています。
2026年2月現在、三村小松法律事務所には元裁判官の弁護士が4名在籍しています。特に、知財部や労務部を経験した裁判官経験者が複数名在籍する事務所は国内でも稀であり、事務所設立時から私が重視してきた点でもあります。
裁判官は、それぞれ重視するポイントや判断の組み立て方が異なります。そのため、複数の元裁判官と議論できる環境は、訴訟や紛争解決の質を桁違いに高める要素となります。
元裁判官の視点が加わることで、
・訴訟や紛争の見通しを早期に把握できる
・争点を的確に整理できる
・主張や証拠の精度が向上する
・交渉段階でも「裁判所の思考」を踏まえた判断ができる
といった実務上の利点が生まれ、これは事務所の大きなアドバンテージとなっています。
訴訟経験のある弁護士であれば、裁判官の意見を(それも複数)事前に得たうえで準備を進められることが、いかに有利であるかをご想像いただけると思います。
また、この環境は若手弁護士にとっても大きな学びの機会となっています。日々の議論の中で、「裁判官ならどう考えるか?」という視点を自然に取り入れられるため、判断の筋道を理解する力が早期に養われるのです。。
三村小松法律事務所が目指す弁護士像・事務所像
三村小松法律事務所では、訴訟を見据えた確かな実力と、産業の実態を踏まえた理解の両方を備えた弁護士を育てることを重視しています。
企業の課題は、一つの法律分野だけでは整理できないことが多く、産業ごとの構造や商慣習に向き合いながら、適切な助言や戦略を組み立てる力が求められます。そのため、幅広い案件に触れながら実務の基礎を身につけ、議論を重ねる中で判断の組み立て方を磨いていくといった、地道な積み重ねを大切にしています。
元裁判官を含む多様なメンバーとの協働は、その力を高める大きな後押しになります。私たちは、実務に真摯に向き合い、産業の現場に寄り添いながら、企業の挑戦に果敢に伴走できる弁護士が育つ場でありたいと考えています。
現在、三村小松法律事務所では、一緒に働く弁護士を募集しています。さまざまな産業分野の企業法務、訴訟・紛争解決に興味・関心のある弁護士のご応募・お問い合わせをお待ちしております。
次回、第2回レポートでは、新田真之介弁護士、田邉幸太郎弁護士、宮澤真志弁護士によるパネルディスカッションの様子をお伝えします。どのような経緯で三村小松法律事務所に入所したのか、どのような仕事に取り組んでいるのかなど、具体的なお話をご紹介します。
【2026.2.10】
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