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  • 【古物営業】健康保険証廃止後の本人確認実務 ―「資格確認書」は本人確認に利用できる?


    2025年12月1日をもって長年使用されてきた紙またはプラスチック製の健康保険証はすべて有効期限が切れ、医療機関では「マイナ保険証」を基本とし、これを保有していない人には「資格確認書」が発行される仕組みに移行しました。
    この制度変更に伴い、古物営業の現場では「資格確認書は本人確認書類として利用できるのか」という実務的な疑問が多く寄せられています。


    健康保険証は古物営業法施行規則の列挙からは削除済み

    まず前提として、健康保険証は制度廃止に先立ち、すでに古物営業法施行規則第15条第1項における本人確認書類の列挙から削除されています。そのため、現在では健康保険証を用いた本人確認は行うことができません。
    店頭で想定されるケースとして、例えば、「資格確認書しか持っていない。パスポートも運転免許証もマイナンバーカードも作っていない」という顧客が来店した場合、リユース事業者としてどのように本人確認を行えばよいのかが実務上の問題となります。

    施行規則15条は「列挙以外の資料」も認めている

    この点について、古物営業法施行規則第15条の規定を確認する必要があります。同条は本人確認の方法について次のように定めています。

    (確認の方法等)
    第十五条 法第十五条第一項第一号の規定による確認は、身分証明書、運転免許証、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードその他の相手方の住所、氏名及び年齢又は生年月日を証する資料(一を限り発行又は発給されたものに限る。以下「身分証明書等」という。)の提示を受け、又は相手方以外の者で相手方の身元を確かめるに足りるものに問い合わせることによりするものとする。

    この条文から分かる重要なポイントは、本人確認書類として列挙されているものだけが利用可能というわけではない、という点です。すなわち、必要な情報(①氏名、②住所、③年齢または生年月日)が印字されている正式な書類(コピーは不可)であれば、本人確認書類として利用できる、という仕組みになっています。

    「資格確認書」は本人確認に使えるのか?

    つまり、結論としては、古物営業の現場では資格確認書に「氏名・住所・生年月日(または年齢)」がすべて印字されているものであれば、本人確認書類として利用できます。

    資格確認書は本来、医療機関において被保険者資格を確認するための書類ですが、自治体等が発行する公的書類であり、かつ一人につき一枚のみ発行される形式のものです。そのうえで、施行規則15条が求める情報がすべて記載されている場合には、「住所・氏名・年齢又は生年月日を証する資料」に該当し得ると整理されます。

    実際に公開されている自治体のサンプルでは、氏名、住所、生年月日がすべて印字されているものも確認されています。

    資格確認書|板橋区公式ホームページ

    サンプル画像

    ただし自治体ごとにバラつきがある点に注意

    もっとも、注意すべき点として、資格確認書の様式は自治体ごとに必ずしも統一されていないという事情があります。例えば、下記のような場合には、施行規則15条が求める「住所・氏名・年齢(生年月日)」を“証する資料”には該当しない可能性が高く、本人確認書類として利用することは難しいと考えられます。

    • 住所の記載がない
    • 生年月日の記載がない
    • 一部項目が空欄で、本人が自書する形式になっている

    そのため、古物営業の実務では、資格確認書を提示された場合に次の点を確認する必要があります。

    実務対応:資格確認書のチェックポイント

    これらの条件がすべて満たされている場合には、資格確認書のみで本人確認を行うことが可能です。
    反対に、いずれかの項目が1つでも欠けている場合には、運転免許証やマイナンバーカードなど他の本人確認方法を案内する必要があります

    まとめ

    今回の制度変更に伴い、買取りや下取りの現場では資格確認書が提示されるケースが今後増えていく可能性が高いでしょう。したがって、健康保険証が使えなくなったという点だけで判断するのではなく、施行規則15条の要件を正しく理解したうえで、個々の書類の記載内容を確認することが重要になります。

    • 健康保険証は古物営業法施行規則の本人確認書類から削除済み。
    • ただし、施行規則15条は「住所・氏名・年齢又は生年月日を証する資料」を認めている。
    • 資格確認書は、必要事項が“すべて印字されている場合”に限り、本人確認書類として利用可能。
    • 自治体によって表記に差があるため、実物を必ず確認し、要件が揃っているかチェックすることが大切。

    以上のポイントを押さえたうえで、過不足のない適法な本人確認を行っていただければと思います


    本記事は、『Jewelry and Law 💎弁護士新田真之介のジュエリー法務』を元に、内容および表現を一部編集・再構成したものです。
    原記事はこちら:https://note.com/jewelryandlaw/n/nb5ea3b05729b


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